大それた望みがあるわけじゃない
突拍子もない願いがあるわけじゃない
ただ『ふつう』が欲しいだけなのに
想うことはいつも手のひらをすり抜けていく
どうして
どうして
呟く声はいつしか嘆きに変わる
どうにもならないとわかっていても、泣きたい時がある
難しいことをしたいわけじゃない
誰かを傷つけるわけでもないのに
『ふつう』を欲しがることは、ないものねだりなのかな
この手のなかに収まるもの
この手に掴みきれるもの
それだけが欲しい
他には何もいらない
この身体と手で抱えられるものは
どれほどのものか
『わかっているか』
問われたら、『知らない』と答えるけれど
手に入れる苦しさを 痛みを 熱を
辛さを 悲しみを
すべて受け入れるから
この手のなかにあるものだけで
生きていたい
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