元勤務先とバイト先とハローワークに、へこまされていた21歳の春。
あたしは何をしていいのかわからずに、覚えたての煙草ばかり吸っていた。
こんなあたしにも、夢や希望はあって。
『しあわせな家庭が欲しい』と、友だちに告げたら鼻で笑われた。
『そんなガラかよ』と。
悪かったな。
しかし、お前に鼻で笑われるようなことじゃねぇ。
あたしの夢も未来も、けなしたり貶めたり笑い飛ばしたりできるのはあたしだけ。
でも、好きなことだけして生きていくのは不可能に近く。
好きなことだけしてていいのは、こどもの証。
あたしはもう、それを知ってる。
知ってるってことは、あたしが大人の証拠。
この喉元まで出かかった苦しさは消える日が来るのだろうか。
どうやったら、抜けていくのか。
息苦しくてしかたない。
時々むせるのは、きっと煙草のせいだけじゃない。
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