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優柔不断も大概に

 人には言えない恋をしている。



 
 世間ではそれを不倫と呼ぶ。
『だからどうした』と開き直れるほど、燃え上がる時期はとうに過ぎた。
知り合った時に既婚者だと気付けなかった、そんな自分が愚かだっただけだ。
心のおもむくまま恋に流されて、また週末を一人で過ごす。
友人たちとの会話から恋愛話は自然と消えた。
面倒な時はだいたい『恋人はいない』、これが定石。



 なぜ、妻を持ちながら自分に心を移したのか。
彼に尋ねることができずにいる。
あえて妻子の話を聞きたいとも思わない。
あっちとこっちをフラフラと、まるで糸の切れた凧のようだ。
こういうのも優柔不断というのだろうか。



 一発奮起して、以前取った資格の更に上の資格を取得した。
そして転職から三か月が過ぎたことを彼は知らない。



―――優柔不断な人をいつまでも待てるほど、若くはない。
愚かな自分も愛してきたつもりだった。
もう充分だ。
彼を愛した記憶だけ抱えて行こう。
まっさらになることはできなくても。



―――もうすぐ春が来る。

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